一般的によく言われている、人生の中にある「三つの坂」を、皆さんはご存知ですか?
一つ目の坂は「上り坂」、二つ目の坂は「下り坂」、三つ目の坂は「まさか」です。
この話についてもう少し掘り下げ、筆者の自分なりの考察を加えてみたいと思います。

 

一つ目の坂「上り坂」

まず一つ目の「上り坂」ですが、これは気分がいい時、調子がいい時、仕事がはかどって順調に進んでいる時などのことです。よく「右肩上がりだね」とか「破竹の勢いだね」とか、言われる時の状態です。

どちらかというと良いイメージが大きいのが「上り坂」ではないでしょうか。
坂を登っている最中は汗もかくし苦しいし疲れますが、その先に目指すべき目標やゴールがあり、それを掴めたときの喜びが大きいですので、途中の労力や疲れは忘れてしまうこともあるでしょう。

 

二つ目の坂「下り坂」

次に二つ目の「下り坂」です。こちらは、転がり落ちる、楽に進める、何もしなければ自然と下に向かうというイメージがあり、気分が落ち込んでいる時、会社の業績が悪い時などのことを言います。

どちらかというと悪いイメージが強いのが「下り坂」ではないでしょうか。

 

三つ目の坂「まさか」と対策

そして三つめの坂、「まさか」です。
いつ・どこで・どのように起こるかわからない出来事に遭遇して「まさか…!!」となる時のことですね。
日々の生活における小さな「まさか」から(髪を切りすぎてしまったとか、仕事を一所懸命やったのにこんなはずじゃなかったとか、予定に間に合うように家を出たけど渋滞にはまって遅れたとか…)
想像もつかない大規模な「まさか」まで(世界各国での紛争・戦争勃発や、風水害・火災・能登半島地震などの天災など)いろいろあると思います。

ここまでの三つの坂は、いずれも平坦な道ではなく坂道なので、どう乗り越えていくかが課題であると考えます。

 

設計業務内での三つの坂

ここまでの坂の話を設計の業務に置き換えて考えてみます。

 

設計業務内での上り坂

「上り坂」の時というのは設計時に次から次へと良いアイデアが浮かび、クライアントが望んでいる理想の建物に形づくられる絵が見える過程ではないかと思います。
一つ一つの要件をクリアするのは大変ですが、そこには大変なやりがいがあります。
クライアントの要望とこちらから提示するアイディアとが合致し、完成した建物を利用・使用する人たちの幸せな顔が想像できた時に、素晴らしい建物の図面が描けます。そしてその図面を基に、施工業者と大変な工事・監理をして建物が完成した時、これがまさに「上り坂」のゴールだと思います。

設計業務内での下り坂

「下り坂」は、建物が完成した後、設計者から手が離れ使用期間に入るこの期間のことが言えるのではないでしょうか。
クライアントに喜ばれて有効に使用されることはうれしいことですが、メンテナンスなどを何もしなければ、時間の経過とともに傷つき・劣化していきます。また、完成後の建物の使用時に、問題が目に見える形となって浮上するとしたらこの期間です。

設計業務内での「まさか」

そして「まさか」について。これは上っている時にも起こりうるし下っている時にも起こりうる、とてもやっかいな坂です。
先ほど述べたように「まさか」は些細なものから想像を絶するものまで、色々です。想定外のことが突然おきます。

「下り坂の時に何もしなければ、自然に下にへ向かう」ので、対策をしなければ些細な「まさか」からも甚大な被害に発展することが想定できます。これを少しでも食い止めるには、可能な限り「まさか対策」をするしかありません。「まさか対策」は、法に則った地震対策、火災対策、雨漏れ対策、高齢者福祉対策、子どもの安全対策などが挙げられるのではないでしょうか。

私たちも「まさか」に遭遇しないよう、日々先を読んで、業務をしています。それでも来てしまう万が一の「まさか」の時は、スピード感を意識し被害を最小限にすること、そして個人単位で乗り越えられないものは周りの協力を仰いで乗り越えるべきと、筆者は考えます。以上を念頭におきながら、今後も業務に専念し、より良い建築をクライアントや社会に提供して参りたいと思います。