今日は、私が参加している「kikori塾」という林業プログラムについてのお話です。

kikori塾はどんなプログラムか

プログラムは、1回のプログラムで2日間、全部で三回行われます。
※現在この記事を執筆している時点では2回目を終えており、残すところあと一回です。

このプログラムは、南アルプスの景観が広がる伊那市で行われています。
伊那市の協力のもと、民間の林業従事者であるきこりから、山仕事や、木の植生を学びます。

実際に山に入り、間伐材をチェンソーで使って切り倒し、枝払いを行い、山から運びだします。その後、薪や合板、加工品として商品となる過程をお手伝いしながら、山暮らしを体験していきます。

参考外部サイト:
https://smout.jp/plans/11703

 

なぜ参加したのか

このプログラムに参加するきっかけは、SNSの広告でした。ちょうどその頃、再生可能エネルギー、ゼロカーボン、といったキーワードについて、いち個人単位で、どんな活動が出来るのだろうかと考えていました。
また、林業の実態はどんなものだろうかと興味を持っていたことも理由です。林業の抱える課題は「担い手となる人材不足」「森が荒れ放題であること」などといったことを良く耳にしていましたが、リアルな現状を知りたいという思いがありました。

そういった背景があり、告知を見た時に「これだ!」と思い、参加することにしました。

建築業に携わっている身としても、建物の身体とも言える“木”について理解を深めることは非常に有意義です。建物資材だけではなく、薪、バイオマスエネルギーの燃料としても暮らしを支えてくれますし、木は暮らしを作る存在で重要な資源です。
加工された材料や商品としては、直ぐに手に取ることが出来ますが、その前の段階についてはあまり馴染みがありませんでしたし、林業の実態はなかなか知る機会もありませんでした。
森林は物理的に私たちのすぐそばにあり、存在するのが当たり前のようでありながら、これが「林業」となると、普段の生活から隔てられ、遠い存在であるように感じます。

今回のプログラムはその心理的距離を縮めてくれる、良い機会でした。

 

プログラムでの体験談

直径40cm、高さ25m近くの木を倒した時は、圧巻でした。
追い口という木を切り倒す最後の手順で、チェンソーを入れると、メキメキと木が裂ける音を立て傾き、加速して倒れます。地面に着地した瞬間の、地響きには驚きました。

しかし、なかなか木を「物」として見ることが出来ず、生命を絶ったような申し訳なさが残る複雑な思いで、考えさせられるような面もありました。

ただ、森という大きな観点から見れば、間伐材を切ることは、柱材など商品となる木を育成させる他、地面に光を当てることで、光合成を促し元気な山とさせる重要な作業とも言えます。

 

また、きこりという仕事の厳しさ、大変さにも触れることができました。
間伐材を切る場所には道路や山道がなく、そこに辿りつくために険しい斜面を数キロ歩く場合もあります。そういった場所で行う作業は危険で、切った木が予想のつかない方向に倒れ、ひやりとする瞬間もありました。

 

きこり業、林業についての理解と所感

今回、きこりは山を守る重要な役割であることを知りました。
彼らは森林組合や山の所有者から依頼を受け、木を切り、それが森林整備や保全につながっています。

事前に聞いていたように、きこりという職業は高年齢化や担い手不足という問題を抱えていることを伺いましたが、同時に私のように興味を持っている人が大勢いるということもわかりました。
実際今回のプログラムにも多くの仲間が集まりました。
持っている山を有効活用したいという人や、いまの暮らしを見つめたいという人、森林整備に興味あるという人など…全国から様々な観点から林業に興味のある仲間が集まり、お互いに意見交換をすることが出来ました。
私と同じ考えを持っている多くの人がいることを知り、心強くも感じました。

また、「森を守る」と言ってもただ放置すれば良いというものではないと再認識できました。
間伐材を管理し、循環するようになった森林こそが、二酸化炭素固定量を増やすことができるとされています。

 

おわりに

木は、細くても大木でも搬出や加工の面で扱いづらい部分があり、適当な大きさというものが求められます。しかし担い手不足により、大木は放置され、間伐されないままで、森が循環しずらくなっているケースが多数見受けられます。
しかも、これをどうしたら良いのかという答えは、誰も持ち合わせていないようにも思えます。

林業の当事者だけではなく、自分たちのような分野外の人間も山に関わることが、今後の森林にとって良いことであるような気がしています。
プログラムは、もう一回あるので、もう少し勉強をしてみたいと思います。