はじめに、見学の経緯

今年2023年の7月14日に改修工事が完了し、リニューアルオープンした福井県立恐竜博物館ですが、先日家族で行き、建物や貴重な展示品などを見学する機会がありましたので今日はそのレポートをお届けします。

ここは世界三大恐竜博物館の一つとされているようです。
私の子供が恐竜に興味を持ち、同時に私も少しずつ興味を持つようになっていたこともあり、いつか絶対に行ってみたいと思っていた場所でした。


建築物の概要

既存 建築物概要

所在地:福井県勝山市
竣工 :2000年6月
規模:建築面積 8,792㎡ 延床面積 15,086㎡
構造 :SRC造 RC造 S造
階数 :地下1階 地上3階 + ドーム 寸法 :高さ約37.5m、長径 84m、短径 55m(ドーム)
設計 :黒川紀章建築都市設計事務所

改修工事の内容


大きな改修工事があったのは上記の写真、右側の建物についてです。
銀色の卵型ドームや大型スクリーンを3面備えた特別展示室、多目的ホール、また化石のクリーニングや骨格組み立てを楽しめる体験教室ゾーンの約400㎡が増設されました。

また、左側の既存棟も2,480㎡を対象に改築し、図書室やキッズルームを新設し、ショップ・レストランは2倍以上の広さに拡充したようです。

 

設計上の特徴

建物を航空写真で確認してみると、周囲の景観は豊かな森と田園風景であることが確認できます。


この設計では、緑豊かな自然の地形を極力保存しながら、山に根付いた自然と 一体化した建築を実現しているそうです。
地形の起伏を積極的に利用するために、建物は敷地の高低差の中に沈み込ませているのが特徴的です。

建物断面概略図で確認しても、出入口を3階に配置し、エスカレータで一気に地下1階へ接続する構成となっていることに気付かされます。


自然の地形を極力保存し起伏を積極的に利用しています。

山の斜面を一旦掘り込んで建設された後、北側が2階部分まで埋め戻されたため、隣接する北側壁には、館内に除湿用の空間が設けられているようです。

(参考資料:福井県立恐竜博物館ホームページ / 恐竜博物館の建物より)

 

内部の様子

利用者目線でのレポート

中へ入場した際に見える景色がこちらです。

中央のエスカレータで一気に地下へ下り、ダイノストリートと呼ばれる通路を経由して恐竜ホール棟の1階へアプローチする動線を辿ります。
まるで、現代から古代の失われた恐竜王国へタイムスリップしたような、幻想的な雰囲気を感じました。

また、展示室に入ると、恐竜の王者ティラノサウルスを中心に、大小さまざまな恐竜標本が50体も展示されていました。

利用してみて感じた建築上の工夫

以上の展示物を確認しているうちに、他の恐竜を展示している施設では感じた事がなかった事に気が付きました。
それは、この展示室内に『柱がない事』です。柱がないため、展示がとても見やすくなっていたのでした。
また、天井にかなりの高さがあるので、大きい標本を展示していても圧迫感を感じませんでした。
柱のない構造体にすることと豪雪地帯のため雪害に遭わないような設計ということで、ドーム型の形状を採用したようです。

他に、博物館では温湿度の管理に気を付けている事を知りました。

展示室では、一年中秋の気候が良いようです。温度を夏期26℃、冬期22℃、湿度を通年55%に設定されているそうです。
一日の温度変化の最大は4℃以内、湿度変化は7%以内、ケース内は3℃以内、湿度は2%以内に保つように調整されているそうです。細かい調整はケース内に調湿剤をいれるという形をとり、展示した品になるべく負荷をかけないようにしているそうです。
一方、博物館の心臓部、収蔵庫内の温度は夏期24℃、冬期22℃に設定して、湿度を部屋で文化財の性質によって分けているそうです。
最近の電気代の値上がりで運営が大変な博物館があるという事を、先日テレビで知りました。

また、帰ってきてから知ったのですが、最近の博物館では音声解説をスマホにダウンロードして使用できるようです。博物館巡りが好きな方には展示品の解説をより詳しく聞くことができると思うので是非活用してみてはいかがでしょうか?

博物館の魅力「90%が実物の骨!カマラサウルスの巨大な全身骨格」

建築には関係ないのですが、自分が一番すごいと感じたことは、90%実物の骨を用いて復元したという巨大なカマラサウルスの全身骨格です。
以下の写真の2体並んでいる大型標本の手前側の標本が該当のものです。

一億五千万年も前、ジュラ紀の全長15メートルもある恐竜骨格の復元です。

また、以下の写真は、産状化石と呼ばれる全身骨格が発見された当時の産出状況を復元したもので、エスカレータを降りてからメイン展示室までの場所に展示されていました。

今回増設された新館について

増設された新館では、一階から三階まで届く「恐竜の塔」 と呼ばれるシンボルモニュメントがあり、塔には福井県で見つかった恐竜5体と鳥1 羽が展示されていました。
エスカレータで降りる途中、一部壁がガラス張りになっている収蔵庫があり、中の様子が見えました。
その他にも3面コの字に囲まれたCG恐竜映像や、化石研究体験として化石クリーニング、CTでの化石観察、恐竜の頭骨復元の体験施設もあり、私も実際に体験してみましたが、骨のパーツを一つずつ正しい位置に組み上げていくことはとても難しかったです。ここで展示されている標本が見事に組み上げられている事はすごい事だと改めて分かりました。

 

おわりに

最後に、設計思想を頭に入れて建物を見学する事で、そこに住む地域住人の思いと設計者の思いを感じ取ることができる気がします。設計はその地域にあった良好な建築景観を形成するためには、まず地域の固有性を把握し、関係者間で共有することが必要であると思いました。
これからの仕事に繋げていきたいと思います。