「ファンを魅了する愛されるブランド」の調査結果

まず、最初に以下の表を見てください。
この表は「ファンを魅了する愛されるブランド」いわゆるファン度をパーセンテージで表したものです。(2022年4~5月、ファン総合研究所が実施)


インターネット上でアンケートを行い、その中で「このブランドが好きか」や「これからもずっと応援していきたいか」などの設問から、どのくらいの割合の人が該当ブランドのファンなのかを算出しています。

この調査では、対象を7業界47ブランドとしています。
7業界の内訳は、ビール業界、お菓子業界、清涼飲料業界、ファーストフード業界、家電業界、化粧品業界、コンビニエンスストア業界です。

まとめると、この表では、調査の中でコアファンとファンの割合がトップだった企業を列挙しています。
※一番右の列の【 】内の数字は業界平均のパーセンテージです。

調査の中では以下の4項目に関する質問を中心にアンケートを実施しています。

  • 利用頻度
  • 利用金額
  • NPS(顧客満足度)
  • ブランドに対する価値や意向

また、別の指標として、

  • 機能価値
  • 情緒価値
  • 未来価値(社会・未来に対するポジティブなイメージ)

上記の価値を図る指標も設けたそうです。

それでは以上の表の結果について、調査中にあったコメントや、ファンが支持する理由等を詳しく見ていきましょう。

 

 

主力商品がそのままコーポレートイメージになった例

アサヒビール

ビール業界1位はアサヒビール。コアファンとファンの割合が32.1%でした。(業界平均は27.7%)

回答者からは「自分の生きがい」「これ以上至福を感じる飲み物は他にはない」といった高評価が寄せられたそうです。

同社はビールだけでも複数ブランドを展開していますが、「日本のビールといえばアサヒスーパードライ」という回答があったことからもわかるように、不動の主力商品がそのままコーポレートイメージにつながっているようです。

「あなたにとってのアサヒビールの存在は?」という質問に対し、
「相棒」「人生の伴侶」など単なる消費財を超えた、身近で深い関係を築いていることがうかがえます。「また父が大好きだった。晩酌はいつもこれだった」と親の影響を受けているファンの声もありました。

 

「昔から変わらない」が「安心」のイメージにつながった例

ブルボン

菓子業界1位はブルボン。コアファンとファンを合わせたファンの割合は30.2%でした。(業界平均26.0%)

調査内で上がったコメントには、
「安心」「信頼」「懐かしさ」という評価とともに、「母」「おばあちゃん家」「家族」といった表現が目立ちました。

ブルボンは、アルフォード、ルマンドなどロングセラーブランドを展開しています。昔から変わらないパッケージ、子供のころから食べていて慣れている、変わらない味、これらの要因が懐かしく温かい家族のイメージにつながったものと見られています。
中には「上手くいかないときにブルボンの菓子が食べたくなる。そんなところが母親の存在に似ている。」と回答した人もいたようです。

企業の規模とファン度に相関関係なし

注目すべき点は、ブルボンは菓子業界の中でも比較的規模の小さい企業だと言える点です。
ここから、企業規模とファン度に相関関係はないということが言えます。

ファン度を高めるのに重要なのは、「機能価値」と、さらに「情緒価値」、つまり「共感」愛着」「信頼」といった、感情に訴えかける価値をいかに感じてもらえるかにかかっているようです。

ブルボンはお菓子業界の他の企業と比べると、機能価値と情緒価値に関する質問でスコアが高いという特徴がありました。

 

未来価値が評価されている例

未来価値がファンに伝わり、それが評価されているブランドもあります。未来価値とは名前の通り、未来に対する期待がそのまま価値になっているパターンです。以下で詳しく見ていきましょう。

コカコーラ

清涼飲料業界でのトップはコカ・コーラ。24.0%です。(業界平均15.3%)
機能価値の評価が高く「安定した美味しさ」のポイントが高いのと同様に、SDG’sへの積極的な取組などがブランドイメージに結びつき、未来価値の評価も高くなっているようです。「社会貢献している」「夢、希望が持てる」というコメントも見られます。

 

ソニー

家電業界トップのソニー。ファン度が16.3%(業界平均8.5%)。平均と比較すると二倍もの支持を得ています。
「ワクワクさせてくれる」という点が評価の軸であり、独創的な商品群、優れた技術力などを賞賛する声が挙げられています。
ソニーは機能価値、つまり品質や性能への評価が高いのに加え、
「世界に誇る企業であること」「新たな刺激を与えてくれる」というような未来価値に関する評価も高いようです。
同社は他分野でその技術力を生かしたサービスを展開していることもあり(銀行や通信サービスなど)この点も信頼と人気を獲得している理由です。

 

一般的に業種に求められる価値の逆を行く例

セイコーマート

コンビニ業界トップは意外にもセイコーマート。ファン度は25.0%でした。(業界平均10.5%)
セイコーマートは業界の中では小規模なローカル企業です。

アンケート内のコメントで印象的だったのは、「商店街のような温かみ」「お客としっかり向き合う」といったコメントでした。コンビニに一般的に求められるのは利便性と思われがちですが、「温かみ」という正反対の要素で支持を得ています。

 

まとめ

以上、業界別のファン度1位の評価コメントを列挙していきました。

このことから筆者が印象的に感じることは、二つあります。
まず、ブルボンの分析にあったようにファン度と企業規模に相関関係はないということ。
もう一つは、機能価値・情緒価値だけでなく未来価値も高めていかなくてならないということです。

つまり具体的に言えば、どんな中小企業であろうと仕事をお客様からいただいて社会に貢献していくからにはファン度を高めていくべきであるし、それは可能だということです。
また、二点目に関して言えば、当社には機能価値として、これまでの実績や経験豊かな技術者が多数在籍しているという強みがあり、情緒価値としては、長野県で広くまた歴史を持って建築設計業務に携わらせていただいてきた経緯があります。
今後未来価値の価値も、さらに高めていくことができればと、いちメンバーとして考えております。