昨今3Dプリンターがものづくりの現場で話題になっていますが、建築の現場での導入も進んでいます。今日は、国内での住宅への3Dプリンター導入事例と、導入の際には具体的にどうするのかなどをご紹介します。また導入のメリットについても考えてみたいと思います。

3Dプリンターで作った住宅の国内事例

3Dプリンターと言えば、模型など立体造形への使用が代表的と思われがちですが、建築の現場での導入事例も出てきました。
例えば兵庫県西宮市のベンチャー企業・セレンディクス社は、「3Dプリンターで作る住宅」というコンセプトを打ち出し、2023年8月に、費用は550万円、工期は2日という前代未聞の手軽な住宅の販売を始められています。
[参考] セレンディックス社ホームページ https://serendix.jp/

 

建築用3Dプリンターの導入方法

それでは建築用3Dプリンターが、具体的にどのように建築の現場で使われるのかを見ていきましょう。
代表的な建築方法は以下の2点です。

方法1:工場で部材を作って現場に運ぶパターン

これは、建築用の3Dプリンターを導入している工場で、分割した建築物の部材を印刷する方法です。
出来上がった部材は建築現場へ持ち込み、基礎の上に組み立てて施工を行います。部材を組み立てたあとは、屋根や骨組みを加えていきます。部材を印刷している間は、並行して現場で基礎を施工できるため、施工期間が少なく済みます。

方法2:大型3Dプリンターを現場に設置するパターン

こちら2つ目は、大型の3Dプリンターを直接建築現場に設置し、材料を積み重ねて施工する方法です。
従来の建築方法では、多くの職人や時間を必要としましたが、建築用の3Dプリンターを用いた場合は、少ない人数かつ短期間の施工が可能です。
中には直接3Dプリンターで建築を行うのではなく、コンクリート柱を建設するために、型枠を造形するモデルもあります。

 

建築の現場で3Dプリンターを使用するメリット

建築用3Dプリンターを使用する工法では、従来の工法と比べて以下のメリットが得られます。

メリット1:施工期間の短縮

建築用3Dプリンターを使用すると、従来の工法に比べて施行期間を大幅に短縮できるのが一つ目のメリットです。過去には24時間未満で住宅が建築された事例もあったほどでした。そのため、災害などで突然住宅を失ってしまった人たちへ仮住居の提供としても期待が寄せられています。

ちなみに現状では、外壁の塗装などの仕上げ工程には3Dプリンター建築では大きく時間がかかるとされています。しかし、この工程を3Dプリンターで印刷できる設計に変更したり、作業をロボット化するなどの検討もされており、今後の技術革新次第では、さらに施工期間を短縮できるようになるでしょう。

メリット2:曲線構造に対応できる

従来の工法では曲線形状の建築は難しく、コストが大きくかかるものでした。しかし建築3Dプリンターであれば、材料を積層していく仕組みから、曲線構造の建築物にも対応しやすくなります。曲線形状が容易になることで、建築物のデザイン性の向上が期待できるほか、限られた土地での建築も可能です。

メリット3:コストの削減

建築3Dプリンターは、使用する資材や建築に必要な人手が少なく済むほか、施工にかかる期間も短縮できることから、コストの削減にも寄与します。また、エネルギー消費量、CO2排出量、廃棄物の削減も期待でき、環境に優しい建築が行えるのもメリットです。建築にかかるコストを削減することで、これまでよりも建築物を安い価格で提供できるようになります。

 

 

以上、建築用3Dプリンターについてでした。
今後国内の建築業界で、使用が一般化される日もそう遠くないかもしれませんね。